居抜き店舗ならば開業までの初期費用をはるかに抑える事が出来ます。しかし既に出来ている店舗を利用する形になりますので、前店舗のイメージをある程度引き継ぐ形になります。違う店、新しい店だと印象付ける為には看板や内装などに独自の工夫が必要です。資金に余裕があり自由に自分の店舗を最初からつくれればいいのですが、居抜きの場合はどのレベルまで改修して、どの部分は自分の工夫で妥協してゆくかの判断が必要になります。また、前店舗の撤退理由も調べる必要があります。店主の年齢による引退などであれば、その商売を継続し維持できた商売に向いた場所だったのだとわかりますが、赤字による撤退ならば、出店に対してより慎重に、商圏が適切なのか、客層や商品が適切だったのかなど細やかな分析と対策が必要になります。
居抜き店舗で開業する際の注意点。
居抜き店舗では内部造作や設備の所有権を有償で譲り受ける場合もありますし、造作や設備は貸主のもので無償貸与されているケースも多くあります。造作譲渡契約なり資産譲渡契約を取り交わして記録に残しておけばよいのですが、何年か経つと貸主も替わる場合があります。何事もなければ問題はないのですが、万が一火災などのトラブルが発生した場合に所有権をめぐってもめてしまう事があります。それぞれの設備や造作に貸主と借り主が重複して火災保険をかけていて、お互いが自分の所有物だと主張してしまうこともあります。その時に根拠になる証拠がなく、口約束だったり記憶では自分のものだけでは大きなトラブルになります。資産譲渡契約などの契約を締結しておく事と、内部造作の所有権のひとつひとつを明確にし、保管しておく事が重要になってきます。
老朽化などの不具合チェックの重要さ。
エアコン・温水便座・空調設備・厨房機器など新品で購入した場合には、取扱説明書や保証書が付いていますが、中古の場合はそれがない事もあります。見た目の綺麗さだけで判断するのではなく、これらも不具合がないか、老朽化がないか事前に細かなチェックをしないと、開業してからやはり新品を購入する事になったり、メンテナンスに予想外の費用が発生する事があります。自分が現地確認するだけでなく、専門業者などに立ち会ってもらい調べてもらう事も大切です。また什器備品に前借主のリース物品が混じっているケースもあります。悪意はなくリースしている事を忘れているケースです。譲渡を受けた後にリース物品であることがわかった場合はリース料を継続して払うか物品の回収となりますので注意が必要です。